ファッション×ファニチャー Furnishion-Air

応募対象の概要

エコノミークラス症候群は、避難所での長時間の同じ姿勢が血流を澱ませ血栓を招き、息苦しさや突然死の原因となるものです。本提案は、空気でふくらますことで、下肢の圧迫を避け体を避難所の冷たい床から遠ざける家具に変形するウェアやバッグ、日常の機能やファッション性と非常時の快適性を合わせ持つ命を守るグッズです。

フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント

年中通してスポーツ観戦やキャンプで使用できるコーチジャケットやリュックをもとに、災害時に有効な要素や機能を充実させました。また、多少の体格差をできるだけ1つのサイズでカバーできるコートやバッグを対象にしているため、家族で揃えたり共用して着用することで、非常時には使用方法の教え合いができるのも、ウェアやグッズならではの価値と考えました。普段から活用しているものだからこそ、非常時でも戸惑うことなく安心して使用できる、頼りになる存在といえます。
日常時 ファッション×ファニチャー Furnishion-Air(日常時)
屋外でのスポーツ観戦やキャンプなどの様々なアウトドア・アクティビティーに利用できる機能性と普段使いしやすいファッション性を持っています。その素材や製法やコストは、既存のアウトドアウェア同等で、大人から子供まで幅広く使用できるものを目指しました。
非常時 ファッション×ファニチャー Furnishion-Air(非常時)
ウェアやバッグの膨らむ部分にバルブから空気を充填し、付属のベルトをバックルで調節・固定することで、避難所によく活用される体育館や公民館、校庭という壁や家具がないスペースでも、体を支え直接冷たい床に触れず、下肢の圧迫を避けることができます。避難生活に僅かでも快適性を生み出すことに貢献します。
カテゴリ
C
被害のレベル
03
プロブレムの種類
活用タイミング
汎用性評価
71 /100点
汎用性

普段使いしやすいファッション性を持った利用頻度の高いコートやバッグで、アウトドアやスポーツ観戦の最中に、防寒、姿勢保持、クッションとして役立つため、日常時の「When」と「Why」で高く評価されている。また、帰宅困難に陥り、一夜を地面で過ごさなければならない状況や、避難所の硬い床で生活せざるを得ない状況下で、簡易的な家具のように身体を支えることができるため、非常時の「Where」「When」「Why」で高く評価された。

有効性評価
70 /100点
有効性

帰宅困難時の駅や路上、災害時の避難所等、壁や家具がない状況で、楽な座姿勢を保持することができ、エアクッションによりエコノミークラス症候群の予防にも役立つため、「非常時のQOL影響能力」で特に評価が高かった。普段使いのゆったりとしたファッションの中に、座椅子のような機能を持たせていることにより、「機能面デザイン」と「情緒面デザイン」で評価された。ファッションの分野でこのようなアイデアの広がりが期待されるため、「新規創生」でも評価されている。

総評

一般的なコートやバッグと比較して、クッションやベルトなどの身体支持機能を付加したことで、アウトドア生活や避難所生活での快適性を高めるため、「有効性」で評価された。スポーツ観戦やキャンプなどで広く活用でき、付属のベルトをバックルで調節して身長や体格に合わせることができるため、「汎用性」を高めている。普段身に付けているコートやバッグに機能を加え、日常時と非常時の価値をファッションに昇華している点が高く評価できる。

http://Furnishion-Air(総評)
受賞者コメント
普段身につけるコートやバッグが家具になる「Furnishion-Air」は、スポーツ観戦やアウトドアで活用できると同時に、避難生活での快適性を高めるフェーズフリーな提案である。付属のベルトは家具化の際に用いるだけでなく、日常ではファッションの一部として機能する点も特徴である。本作の着想は、無重力での家具を再発明する過程で「安定した姿勢が安心をもたらす」と気づいたことから生まれた。今後は社会に実装し、誰もが安心して暮らせる未来の実現に貢献していきたい。
265Labo
受賞者プロフィール
265Lab 田中聡一郎/阿部真歩/島ノ江史菜(東京都立大学 システムデザイン学部 インダストリアルアート学科)